収入を高める

所員へのメッセージ

 

収入を高める

◆2009年9月全体ミーティング
先月、これから環境が厳しくなるとうことを話しました。大量に受かっている弁理士達がどんどん育ってくる。その中で我々は、特許ビジュアライゼーションをコアとする発明の展開力、米国特許庁への直接手続をコアとする外国出願のスキル、そしてコミュニケーション力をコアとする外内出願のスキルの3つを更に高めることで差別化を図るという事を話しました。

今月は、スキルを高めるという事を、少し違う観点、収入という観点から考えてみたい。収入と言うと我々がまず考えるのは、いくらもらったかという事だろうと思います。でも収入にはもっと多くの種類かある。例えば株を持っていたとしよう。その株が10年間で10倍の価格になって売れた。これも収入ですね。この10年を各年に分けてみると、今年得たお金以外に今年1年間でどれだけ株の価格が上がったか、それを各年の収入と考える事ができる訳です。

会社を経営する時にも、1年間に会社が外部からどれだけ得たかという事以外に、会社が持っている資産の価値がどれだけ上がったかを意識する事が大事です。このような経営手法を資産価値経営と呼びます。極端な例で考えれば、金銭収支が赤字だったとしても、その赤字額以上に会社の資産価値が高まったら、全体としてはプラスだったと考える事ができる訳です。

上場企業の場合は、企業の資産価値が世の中から日々評価されて株価に反映されます。株主は、会社が将来どのくらい利益を上げそうかを見ている。利益が上がりそうであれば株価は高まる。株価を高める、つまり将来しっかりと利益をあげることのできる会社を作ること、会社の資産価値を高めることが、経営者の重要な責任な訳です。

私もこの事務所の経営を同じ様に考えています。今年、来年、利益をあげる為の経営をやっていても話にならない。今後10年に渡って安泰で、同じことを継続していれば大丈夫ならそれでいいかも知れない。でも現実にはそんなマーケットは存在しない。資本主義社会の原則は競争社会です。常に新規参入があり、前進と改革が行われ、敗北者が撤退する。これが資本主義社会の原則です。

特許事務所も資本主義社会の通常の競争に巻き込まれます。だから、今年1年、来年1年を生き延びる為じゃなくて5年後10年後に向かって自分たちの価値を高めていく、その為の経営をしていかないとならないんです。我々の日々の業務において何を勉強する事ができるか、今年1年の業務を通じてどれだけ組織として前進をする事ができるか、それが重要だという事です。

全く同じ事を個人について考える事もできます。個人にも各年の収入がある。そして自分の資産を持っている。例えばある人は、年500万円稼ぐ能力を持っている。ある人は、毎年1000万円稼ぐ能力を持っている。この能力が最大の資産ですね。そして例えば今年収入を得る力が年間500万で、来年収入を得る力が年間600万になったとしよう。100万円分能力が上がった。するとこの1年間でどのくらい自分の資産価値が上がったことになるか。これから先30年間働いくんだとしたら30年×100万円分の資産価値を今年得た事になる訳です。3000万円の価値収入。

収入には、もちろん金銭的な収入もある。しかし現実にはその仕事をすることによって、それぞれの人の資産価値がどれだけ上がるか、その事の方が我々の人生にはるかに大きなインパクトを与える訳です。

だから僕自身も、キャノンにいた頃から収入には全く感心が無かった。正直に言えば、自分の収入がいくらなのかさえ知らなかった。感心があったのは、今年何を勉強できるか?今勉強している事がどれだけ役に立つか?来年学ぶ事が本当に自分の価値を更に上げるか?それだけです。日本の特許事務所に就職した時も同じです。収入がいくらか聞かずに就職して、給料明細をもらって初めて、俺の給料この金額なんだなとわかった。つまり収入に全く感心が無いんです。アメリカに行った時も同じで全く感心が無かった。アメリカで働くということの方が遙かに重要だった。

本当に、本当に、本当に、各年の収入より10倍も100倍も重要な事は我々の資産価値、それを日々どれだけ上げていけるかという事なんです。学ぶ気持ちが無かったら何をしていても身につかないですが、本当に学ぼうと考えたら、1つ1つの瞬間を、誰かと一緒に人生を共有するその瞬間を、みんなと一緒にこうやって時間を共有するこの一瞬を、自分達の勉強の時間として使っていく事ができる。私自身も今この瞬間も、みんなにこうやって話しながら一生懸命に勉強しているんですよ、みんなの顔を見ながら、みんなの眼を見ながら。どうしたらきちんと伝える事ができるのか、それを真剣に学びながらこの時間を過ごしているんです。

会社の経営も人生の経営も、全く同じだと思います。会社としてこれからも、学べる事、そのチャンスには積極的にチャレンジしていきたい。チャレンジしようと思うと大変な事もある。たくさん勉強しないとならない。しかし学べるという事はそれだけ前進できるということです。それが本当に理解できたら、学ぶという事自体を楽しんでできるんです。ああ大変だな、こんなに勉強しなくちゃいけない、・・・なんて面白いんだろう、と。なぜなら、それこそが今得られる本当の価値じゃないですか。

割りの悪い仕事もある。でも割が悪くても学ぶことのできる仕事はやります。例えば特許調査なんかもすばらしい仕事だと思っている。何百件もの公報を読む。大変だけれども公報を読みながら何百もの発明に触れることができる。その知識があったら、今度お客様と話す時に、こういう企業がこういう方向で随分出願していましたよ、この発明ってこういう展開も有り得るんじゃないですか? そう話す事ができる。

環境が厳しくなる将来に向けて、事務所も資産価値を高めることを意識して進んで行きます。みんなにも是非、同じ気持ちで一緒に進んできて欲しいと思っています。

今日はこれで解散にしよう。

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