クレーム用語変更と禁反言適用可否

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クレーム用語変更と禁反言適用可否

(Fiskars Inc., v. Hunt Manufacuring Co. CAFC., 7/24/00)

<所内、判例勉強会より>

論旨概要:出願履歴において、クレームの用語を差し替える補正を行った。この補正は引例との差異化のためのものではなく、従って特許性主張のための補正ではない、という事実認定がされた。従って、この補正について出願履歴禁反言は働かない。

実務への影響:補正を行う場合には、補正を行う意図と、補正の対象となるクレームを明示して行うことが重要であることが改めて確認された。

出願履歴中の補正が、特許性主張のためか、そうでないかが明らかでないときは、特許性主張のために行ったものであるとの推定が働いてしまうからである。すなわち、特許出願人が、その補正が特許性主張のために行ったものでないことを立証しなければ、その補正による出願履歴禁反言が働いてしまう。

米国特許出願の拒絶理由通知(Office Action)においては、独立クレームのみならず従属クレームに至るまで、すべてのクレームについて詳細に拒絶の理由が示される。従って、拒絶理由に対応するに際しても、出願人は各クレーム毎にそのクレームから認定される発明が拒絶理由に該当しないことを述べる必要がある。

特に留意すべき点の第一は、特許性主張のためでない補正、たとえば、記載不備を回避するための補正をする場合には、意見書においてその補正の意図を明示することである。その理由は上述の通りである。第二は、不必要な限定を含むような補正をしないことである。これが特許性主張のためになされたものであれば、出願履歴禁反言が働き、補正前の範囲にまで均等論を主張することができなくなるからである。第三は、特許性を主張しようとするクレームで言及されていない特徴、例えば下位クレームの特徴や実施例のみに開示されている下位概念の特徴をもって当該クレームの特許性を主張するような意見書の提出を避けることである。この場合には、クレームされていない特徴を述べているとして、審査においては審査官に考慮されないのが通常であるが、それが看過されて特許された場合には、出願履歴禁反言の法理によりクレームの文言よりも狭く解釈されてしまうからである。


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