KSR判決を踏まえたアメリカ特許庁の審査ガイドライン・要約

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KSR判決を踏まえたアメリカ特許庁の審査ガイドライン・要約

Federal Register/Vol. 72, No. 195 /October 10, 2007, Pages 57526 – 57535


2007年10月23日
龍華国際特許事務所
大庭健二


 ご承知のように、米国最高裁はKSR事件判決(2007年4月30日)の中でクレームの自明性判断に関して重要な指針を与えました。約半年が経過し、アメリカ特許商標庁は、この最高裁の指針を反映した審査ガイドライン(2007年10月10日)を発布いたしました。以下はその概要です。

 全般的に、今後の審査においては、複数の引例が組み合わせやすくなったこと、及び当業者の推測・創造の範囲が広げられたことから、審査官にとって自明と判断し易い環境ができたと言えるでしょう。具体的には以下の7つのいずれか一つの具体的論拠に基づいて、自明性が判断されることになります(Federal Register, Pages 57529, 左カラム参照)。

(A)既知の手法によって先行技術の要素同士を組み合わせ、予測可能な結果をもたらしているに過ぎないか。

(B)ある既知の要素を単純に他の要素に置き換え、予測可能な結果をもたらしているに過ぎないか。

(C)既知の技術を用いて、類似の装置(方法、製品)を(既知の技術と)同じ手法で改善したに過ぎないか。

(D)既知の技術を既知の装置(方法、製品)に適用して改良し、予測可能な結果をもたらしているに過ぎないか。

(E)試行することが自明 (obvious to try) か。成功することが普通に期待できる、予測可能ないくつかの解決策からの選択にすぎないか。

(F)設計上の理由あるいは市場のニーズに基づくある分野での既知の作業が、同一あるいは異なる分野で用いられる変形例をもたらし、かつその変形例は当業者にとって予測し得るものであったか。

(G)先行技術内にある教示、示唆、動機付けが当業者をして先行技術を改良させたにすぎないか、あるいは先行技術の教示同士を組み合わせてクレーム発明に到達することが当業者に可能であったか。

 これらを理由とした自明性拒絶を受けた場合、出願人の対処として以下の反論が考えられます。

(1)技術的困難さ故に当業者は引例同士を組み合わせられない。

(2)要素の組み合わせ全体は、個々の要素とは異なる機能を発揮する。

(3)組み合わせた結果は予想できるものではなかった。

なお上記の反論に際して、審査官の自明性理由中の具体的にどこの点が誤りであるかを指摘することが要求されています。今までのように「拒絶の理由を十分に述べていない」、「周知の事実とする審査官の見解は引例のどこにも支持されていない」というようなラフな反論理由は通用しないことが予想されます。

今後アメリカの中間処理においては、意見書において反論の根拠を示すために今までとはうって変わって詳細に具体的箇所を示したり、また証拠集めのための労力が要求されることが予想されます。客観的証拠(副次的要因)を提示するための宣誓書を作成する頻度が増える可能性もあります。

上記のように、今後は日本の拒絶理由通知書に対する応答書と同程度の対応が必要になってくると思われます。何かご不明の点やご相談等がございましたらご遠慮なくご連絡ください。


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