立体商標制度について

2020.05.20
弁理士 長賀部 雅子

2020年4月1日より、店舗等の外観・内装のデザインについて、
広い範囲で立体商標の出願が可能となりました


 日本特許庁は、店舗等の外観・内装を適切に保護すべく、商標法施行規則、商標審査基準及び商標審査便覧を改定し2020年4月1日以降の出願に適用することとしました。

願書の記載方法の変更点


商標審査基準(商標法3条1項柱書)の主な変更点


立体商標の識別力

 「立体的形状が、商品等の機能又は美感に資する目的のために採用されたものと認められる場合は、特段の事情のない限り、商品等の形状そのものの範囲を出ない」と判断され識別力が認められません(商標法3条1項3号又は同6号に該当)。

 これに対して使用の結果、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる(識別力を有する)ものとなっていることを、例えば以下の証拠書類によって証明すれば、商標登録を受けることができます。

 証拠書類の例
① 商標の実際の使用状況を写した写真又は動画等
② 取引書類(注文伝票(発注書)、出荷伝票、納入伝票(納品書及び受領書)、請求書、領収書又は商業帳簿等)
③ 出願人による広告物(新聞、雑誌、カタログ、ちらし、テレビCM等)及びその実績が分かる証拠物
④ 出願商標に関する出願人以外の者による紹介記事(一般紙、業界紙、雑誌又はインターネットの記事等)
⑤ 需要者を対象とした出願商標の認識度調査(アンケート)の結果報告書(ただし、実施者、実施方法、対象者等作成における公平性及び中立性について十分に考慮する)
 

使用による識別性の審査について

 使用により識別力を有するに至った商標として認められるのは、その商標と同一の商標及びその商標を使用していた商品又は役務と同一の商品又は役務に限られるとするのが原則です。
 これに関し、立体商標に関する出願商標と使用商標との同一性の判断については、以下のような取り扱いとなります。
 
出願商標が商標を構成しない部分としての破線等を有する場合
 使用商標において、出願商標を構成しない要素が付加されている等、使用商標と出願商標の立体的形状の一部が相違する場合であっても、出願商標と使用商標の立体的形状の特徴的部分が同一であり、特徴的部分以外の部分にわずかな違いが見られるにすぎない場合には、両商標は同一と判断されます。

取引の実情の考慮について
 店舗等の外観又は内装の形状については、商品の形状と比較して、各使用商標を完全に同じ形状にすることが困難であるという実情があり、出願商標と使用商標とが外観上厳密には一致しない場合が多いことが想定されます。そこで、店舗等の外観・内装の立体商標に関する出願商標と使用商標との同一性の審査においては、出願商標と使用商標が外観上厳密には一致しない場合であっても、外観上の差異の程度や指定商品又は指定役務における取引の実情を考慮して、商標としての同一性を損なわないと認められるときは出願商標を使用しているものと認められます。ただし、出願商標と使用商標との差異の程度が大きい場合等、両商標の同一性が損なわれていると認められるときは、両商標は同一ではないと判断されます。

 以上のとおり、店舗等の外観・内装のデザインについて、適切な保護範囲にて立体商標により権利化を図ることが可能となりました。ご興味がある方は、ご遠慮なくご相談ください。