国際予備審査と国内審査の海外での活用

2021.09.10
弁理士・米国弁護士 龍華 明裕

 近年Global Dossierの普及に伴い、各国から引例が同じ拒絶理由を受けることが増えています。弊所は、この傾向が今後も続くと考え下記をご提案いたします。

国際予備審査(以下、予備審査)の請求
・予備審査を請求すると、予め請求項を補正したうえで更に先行技術を発見できます。これを考慮した請求項で国内移行すると拒絶理由の平均回数が減ります。予備審査の庁費用は約7万円~※1と安価で、国際段階では現地代理人の費用もかからないので権利化までの合計費用が下がります。
・各国のOA回数が減ることで、米国へのIDS提出回数も減るのでこの費用も削減されます。

※12021年9月10日現在、IPEA=JPO、PCT日本語出願、請求の範囲の発明数2の場合
予備審査手数料(26,000)+取扱手数料(23,100)+追加手数料(15,000×(請求の範囲の発明数-1))


日本の審査の活用
 外国への国内移行または出願の前に、日本で審査を受けておき、発見された先行技術を考慮した請求項で外国へ国内移行または出願することでも、同じ効果を得られます。

ご提案
(1)国際調査報告で全請求項の特許性が否定された場合、または、
   特許性が認められた請求項へ減縮をしたくない場合

 ①日本で権利化を目指さない場合は、国際予備審査を請求して34条補正し、補正した請求項の先行技術を発見しておくことをお勧めいたします。
 ②日本でも権利化を目指す場合は、日本出願において、国際調査報告に鑑みた自発補正を行い審査請求することをお勧めします。すると殆どの場合、国内移行前に日本の審査結果を得られます。それを考慮して補正を行い国内移行することにより、①の費用を避けることが出来ます。

(2)国際出願または外国出願をまだ行ってなく、日本では権利化を目指す場合
 この場合は、予め日本で審査請求又は早期審査請求を行い、拒絶理由の引例を考慮した上で国際出願または外国出願を行うことをお勧め致します。すると各国での補正費用を削減できます。先行技術を考慮して明細書の記載を補充できるので特許率も高まります。

 ただし費用を下げることよりも、各国で少しでも広い権利を得ることを優先する場合は、上記ご提案の限りではありません。ご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。

以上