米国における特許表示と再発行手続

2019.12.13
弁理士・米国弁護士 龍華 明裕


1. 特許表示
損害賠償請求の制限
 米国では、以下の特許表示または通知を行わなければ、特許権が侵害されても損害の賠償が認められません。(米国特許法第287条(a) 第2文)
(a) 米国で流通または輸入される製品、または同製品のパッケージ若しくはラベルに、特許に係る製品である旨を、①特許番号、または②特許番号が記載されたウエブページアドレスと共に表示する。(同第1文)
①の記載例: U.S. patent 12,345,678 U.S. pat. 12,345,678
②の記載例: U.S. patent https://www.aaa….
 (b) 特許権の存在を侵害者に通知する。(同第2文)

 (a)が行われていない場合は、(b)の通知が行われた日以降に発生した侵害に対してのみ損害の賠償が認められます。日本とは異なり米国では、特許権が侵害されても販売等の差し止めが自動的には認められません。このため高額な損害賠償を請求し得ることが、特許権侵害を防ぐために重要です。しかし上記(a)も(b)も行われていなければ損害賠償を請求できないので特許権の脅威は非常に小さくなります。クロスライセンス交渉においても不利です。

ウエブページ上の記載((a)②)
 特許番号を記載したウエブページには、誰でも無料でアクセスできる必要があります。またその特許番号は後からウエブページに追加されたと反論されるのを防ぐために、ウエブページの更新履歴を保存することをお勧め致します。このウエブページは、少なくとも英語で記載することをお勧め致します。
例:https://www.3m.com/3M/en_US/company-us/patent/

 競合会社は特許明細書や特許表示を検討することにより、特許権者の特許知識と権利行使の意識を想定することができます。このような想定は、貴社との特許上の付き合い方やライセンスの方針を検討するうえで参考にされます。訴訟に強い特許権を得ることと共に正しい特許表示をしておくことは、貴社を防衛する為に大切なのでどうぞご留意下さい。

 なお、虚偽表示に対してはペナルティが課され得ます。よって年金不払いにより特許権を放棄した場合や、モデルチェンジにより特許を利用しなくなった場合には、特許表示も変更をする必要があります。そこで自社の各製品が自社のどの米国特許を利用しているかを一元管理しておくことをお勧めいたします。

2. 再発行
 特許日から2年までであれば、権利範囲を拡張またはシフトする「再発行」を請求することが出来ます。費用は、概ね一部継続出願(CIP)と同程度です。請求後は通常とほぼ同じ審査が行われます。特許請求の範囲の効力は以下の通りです。再発行を検討される場合は、どうぞご連絡下さい。

(1)原特許及び再発行後の双方で維持された権利範囲
    原特許発行時から存在したとみなされます。
(2)権利範囲に入らなくなった部分
    初めから存在しなかったものとみなされます。
(3)拡張された部分
    再発行特許時から存在したとみなされます。

詳細な情報をご希望の場合は、どうぞご連絡下さい。