特許調査の進め方

2016.09.30

発明者各位

弁理士・米国弁護士 龍華 明裕

1.特許調査のタイミング

 新たなシステムを考案したら、設計を進める前に、まず同じシステムが特許されていないか調査することが大切です。早期に特許を調査しておくことで、権利侵害を未然に防ぐことができます。

 発明を会社に提案することを考えたときにも、特許調査をすることが大切です。発明の提案書には、特許調査で発見された、最も類似する2、3件の出願の出願番号を記載します。類似する出願の番号は、通常は明細書にも記載します。これにより、特許庁の審査の質を高め、ひいては弱みのない(権利行使のしやすい)特許を得ることができます。類似する出願は、特許事務所が発明のバックグランドを理解することや、従来技術に対する発明の特徴を理解するためにも、大切な役割を果たします。

2.特許調査の方法

 日本の特許出願は、日本特許庁(https://www.jpo.go.jp/)で、欧州の特許出願は、欧州特許庁(http://ep.espacenet.com)で調べることができます。一番簡単なのは、キーワードによる調査です。ただし、例えば「コンパレータ」というキーワードで調査をしても、「比較器」という単語を使っている出願を発見できません。そこで、各キーワードの同義語を考えてそれらをグループにして調査します。複数のキーワードを用いる場合には、例えば、

   (コンパレータ or 比較器) and (加算器 or アダー)

などのように、それぞれのキーワードのグループで検索をします。検索をする範囲は、特許出願の全文か特許請求の範囲のみかを選択することができます。検索範囲を特許請求の範囲のみに限定すると、発見される出願の数は数分の一になります。

3.米国特許を調べる場合の注意

 米国の特許も、米国特許庁(http://www.uspto.gov/patft/index.html)で調べることができますが、下記の点に注意する必要があります。

 米国では、特許権の侵害者が特許権を侵害していることを知っていた場合に、大きな損害賠償が命じられます。これは懲罰的な規定で、損害賠償額は通常の3倍になる場合もあります。特許調査により米国特許の存在を知ってしまうことには、リスクが伴うわけです。

 もし、侵害をしている可能性のある特許を発見してしまったら、特許部にご連絡ください。不利な証拠を残さないように、メールやファックスではなく「電話」で連絡することをお勧めします。特に、「この権利を侵害している」などの、侵害を認める言葉をメールやファックスに記載することは避けてください。後に相手方に見つかり、証拠として使われる可能性が高いからです。また米国特許公報を保存しておいて良いか否かについてもご注意ください。

 特許を発見しながらこっそり製品を売り続けると、会社経営に影響するほど大きなリスクが生じます。少しでもあやしいと思ったら、対処方法を自分で判断をせずに必ず特許部に連絡することが大切です。

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