意匠制度の概要

1.意匠権の権利範囲・保護対象

意匠権は、登録意匠のみならず、登録意匠に類似する意匠にも権利が及びます。近年では法改正により、従来の保護対象であった物品の形状等のみならず、画像の意匠、建築物の意匠も、保護対象として認められるようになりました。


2.意匠権の存続期間

意匠権の存続期間は、意匠出願の日から25年です(ただし、2020年4月以前に出願した場合は、登録から20年です)。


3.願書と図面

意匠出願をするときには、願書と、物品を6つの方向(上下・左右・前後)からみた6面図を提出します。図面の補正は、きわめて軽微なものしか認められないため、各図は同一縮尺で、完全に整合している必要があります。  物品の凹部の深さが6面図に表れていない場合には、更に断面図又は斜視図を提出する必要があります。前後・左右の態様がまったく同一の場合には、いずれかを省略することが可能です。


4.意匠登録要件

意匠権を取得するには、出願に係る意匠が工業上利用できるものであること、新規性のあるもの、創作が容易でないもの等の意匠登録要件を満たす必要があります。このため、以下のような意匠は、意匠登録を受けることができず、意匠権を取得することができません。


(1) 工業上利用可能性のない意匠

物品であることが前提であるため、装飾、ロゴ、キャラクター等は登録を受けられません。また、量産が不可能なもの、貝の化石などの自然物を主体としたもの、純粋美術の分野に属する著作物も、意匠登録を受けることができません。


(2) 新規性のない意匠

日本国内・外国で、公然知られた意匠、刊行物・インターネットで公知になった意匠とその類似意匠には、新規性が認められません。


(3) 創作容易な意匠

公知の形状等、画像に基づいて、当業者が容易に創作することのできる意匠は、意匠登録を受けることができません。


(4) その他

これらに該当せずとも、公知意匠の一部と類似の意匠は、意匠登録を受けることができません。また、物品の機能により必然的に定まる意匠、建築物の意匠で、その用途に取って不可欠な形状のみからなるもの、画像の意匠で、その用途にとって不可欠な表示のみからなるものも、意匠登録を受けることができません。


強い意匠権を取得する為に

意匠権はデザインを守るための権利です。消費者が商品を購入する場合、技術的な違いだけではなく、デザイン(意匠)も大きな決定要因となります。意匠権を取得するためには、そのデザインが独創的(ex. 新しく、簡単に創作できない)でなくてはなりません。 また、今後の製品の改良を考慮して出願しないと、将来的に意匠権による保護が不十分となる可能性があります。RYUKAは将来の意匠の変更をお客様と共に検討し、変更された形態もできる限りカバーする方法をご提案いたします。

意匠権は登録意匠とその類似範囲に権利が及びますが、類似の概念が必ずしも明確でないために関連意匠制度および部分意匠制度を利用することが効果的です。

1.関連意匠制度

類似した複数の意匠がある場合には、これらの意匠を関連意匠として登録することができます。関連意匠制度を利用することで、同時期に創作された複数の類似した意匠や、当初製品投入後に需要動向を見ながら開発されたバリエーションの意匠などを効果的・戦略的に保護することが可能となります。関連意匠の出願は、本意匠(類似する複数の意匠の中から出願人が選択した1つの意匠)が登録されてから、その意匠公報が発行される前日までに行わなければなりません。創作した複数の意匠について、漏れなく権利を取得したい場合には、バリエーションの意匠について関連意匠として出願することをおすすめします。

「関連意匠の関連意匠」の活用

意匠法の新法が2020年4月1日に施行されました。新法の下では、最初の基礎出願から10年に渡り、基礎出願に類似する関連意匠や、関連意匠に類似する関連意匠を順次出願することができます。これらの意匠の存続期間は、基礎意匠の出願日から25年です。

関連意匠は公知意匠の例外

本来は、販売等により公知になった意匠は登録されません。

しかし、本意匠Aまたは関連意匠Bに類似する意匠Xの製品をA,Bの出願後に販売した場合であっても、その意匠Xを、AまたはBの関連意匠として出願すれば、Xを権利化することができます。このように、製品を販売しながら権利の網を広げることができます。


問題点1:「拒絶のドミノ」

A-B-C-Dと、異なる時期に順次関連意匠を出願し、それぞれの出願の直後に、出願した意匠と同一または類似の製品を販売していたと仮定します。仮にBが公知意匠X(Aに非類似でBに類似)により拒絶されると、Cの審査において、Bの販売に対して公知意匠の例外が働かないので、CはBの販売により拒絶されます。するとCの販売に対しても公知意匠の例外が働かないので、DはCの販売により拒絶されます(拒絶のドミノ)。

問題点2:複数の独立意匠に類似する意匠を登録できない。

非類似の意匠A, Bが独立に登録されると、双方に類似する意匠Xは権利化できません。Xを一方の意匠Aの関連意匠としても、他方の意匠Bには公知意匠の例外が働かずBにより拒絶されるからです。

RYUKAからのご提案

1.関連意匠を10年の期間に頼らず早めに出願する

他の公知意匠により拒絶されるのを避け、ひいては拒絶のドミノを回避するためです。できるだけ同時に出願することをお勧め致します。

2.非類似の意匠A,Bを出願する場合、中間的意匠Cも出願し関連意匠にする

全体が関連意匠として関連付けられると、上述のXに対してA,B双方の公知意匠の例外が働き、Xの登録を受けられるからです。A,B出願後にCを出願しても、A,Bを関連付けることができないのでご注意ください。

.関連意匠が非類似と判断される恐れがある場合も中間的な意匠を出願する

2つの意匠を確実に関連付け、その後に権利の網を広げやすくするためです。また関連意匠として出願し、特許庁から類似しないという拒絶理由を受けた場合には、できる限り、類似すると反論することをお勧めいたします。A,Bの双方に公知意匠の例外を働かせるためです。


<News>日米における意匠のバリエーションの出願方法

関連意匠制度を利用した、日本及び米国で権利化を図るための対応策についてご説明いたします。


2.部分意匠制度

物品の一部分に特徴がある場合には、その部分の意匠について登録を受けることができます。部分意匠を登録することにより、全体としては類似していなくても、部分意匠に類似した部分を有する物品に対して権利を行使することができます。そこで、お考えの意匠の中で特に特徴のある部分は、部分意匠としても出願することをおすすめします。

関連意匠出願と部分意匠登録出願の費用は、それぞれ通常の意匠出願の費用と同額です。全体に特徴があり、かつその一部には特に特徴がある場合には、全体の意匠と、部分意匠の双方を出願することをお勧めいたします。


3.他の重要な制度

(1)新規性喪失の例外(Grace Period)

販売や宣伝等で公知になってから1年以内であれば新規性喪失の例外を申請して意匠登録出願することができます。優先権主張をした場合でも公知になった日から1年以内に出願する必要があります。申請は出願と同時にし、出願から30日以内に公知になったことを証明する書面を提出しなければなりません。

(2)秘密意匠

意匠が登録公報に記載されるのを、登録の3年後まで遅延させることができます。申請は出願時、または登録料の納付時におこなうことができます。


(3)画面の意匠

ディスプレイ等に表示される画像を、意匠によって保護することができます。ただし画像は、物品の操作に必要な機能を示すもの(GUI)又は物品がその機能を発揮した結果として表示されるものに限られます。


(4)早期審査制度

外国で出願した意匠やライセンス交渉をしている意匠、争いが生じている意匠については、審査を早めることができます。


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