【判例シリーズ】最判H10.2.24「ボールスプライン軸受事件」 解説動画

2023.11.13

今回は判例シリーズ第九弾、最判H10.2.24「ボールスプライン軸受事件」の解説動画です。

特許発明X(=物の発明とする)が発明特定事項A、B、C、D及びEから成り、被告実施品も構成要件A、B、C、D及びEから成るものとする。この場合、両者は完全同一なので、被告実施品を権原なく製造販売すると(特2条3項1号)、文言上、特許権の(直接)侵害が成立する(特68条、特70条1項)。
ところが、本判例(最判H10.2.24「ボールスプライン軸受事件」)の事案は、特許発明Xが発明特定事項A、B、C、D及びEから成る一方、被告実施品はA’、B’、C、D及びEから成るということで、完全同一ではない。そのため、文言上、特許権の(直接)侵害は成立しない。しかし、僅かな相違のみで侵害を容易に免れるとすれば、法目的(特1条)や社会正義に反し、衡平の理念にもとる結果となる。
そこで、本判例にて規範定立されたのが均等論(文言上の相違があっても、5要件を満たせば、均等侵害(直接侵害)とする考え方)である。

この業界に身を置く者にとって、本判例は「知らない者はいない」と言える程に著名な判例ですが、本質的に理解している者は案外少ないかもしれません。本動画は、均等論の本質的理解を図ることを主眼としております。今回の動画を機に、理解を深めて頂ければと思います。

引用出典1:最判H10.2.24「ボールスプライン軸受事件」
      平成6(オ)1083 特許権侵害差止等 特許権 民事訴訟
      平成10年2月24日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所

引用出典2:東京高判H6.2.3「ボールスプライン軸受事件」
      平成3(ネ)1627 特許権 民事訴訟
      平成6年2月3日 東京高等裁判所

板書:最判H10.2.24「ボールスプライン軸受事件」


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