米国へ商標を出願する前に

2018.12.14
弁理士・米国弁護士 龍華 明裕

使用主義
 商標1を登録した者は、商標を全米で使用する独占権を有すると推定されます。しかしこの推定は覆される可能性があることに注意する必要があります。すなわち米国では商標権があくまで実使用に基づいて発生するので、登録されても使用されていない商標や一定期間使用が中止された商標の排他権を行使することはできません。

保護される商標
 文字、図形等の一般的な商標のみならず、トレードドレス(例:商品のパッケージデザインや店舗の内外装)、匂いや光なども登録の対象になります。

出願
■登録のBasis
 米国で商標登録を受けるためには、
  ① 米国で実際に商標を使用し、その証拠を特許庁に提出するか、または、
  ② 同一の商標について本国(日本)で商標登録を受ける、必要があります。
 ①②の双方を出願のBasisとすることもできます。これにより、一方のBasisが否定されても他方のBasisにより登録を受けることができます。

■出願のBasis
 以下のBasisがあれば上記①②が満たされる前に出願をすることもできます。
  ③ 米国で商標を使用する予定があるか、または
  ④ 本国(日本)の出願に基づくパリ優先権を主張する。
 ただし③④の場合は、それぞれ、登録までに①②を満たす必要があります。③④の双方をBasisとしておくと、後に①②の一方が満たされなくても、他方によって登録を受けることが出来ます。

■商標
 日本と同様に商標を標準文字で記載することが出来ます。

■指定商品/指定役務
 日本より具体的である必要があります。例えば、第25類「被服」には帽子、ジャケット、ズボン、下着などが含まれます。日本では指定商品を「被服」とすることができますが米国では、「Hats」、「Caps [headwear]」等と記載しなければなりません。日本の出願の指定商品の記載をそのまま利用して米国に出願をすると、殆どの場合に拒絶理由を受けます。

■庁費用(電子出願:TEAS/TEAS Plusの場合)        2018年12月現在 

審査手続
■ディスクレーム
 商標が識別性を有しない部分を含む場合は、当該部分について権利行使をしない旨の宣言(ディスクレーム)をすることにより拒絶理由が解消することがあります。

■コンセント
 先登録商標と類似するという拒絶理由を受けた場合は、先登録商標権者から本願を登録することへの同意(コンセント)を受け、その旨を証明する書面を提出することにより、拒絶理由が解消する場合があります。

■異議申立期間
 出願の公告から30日です(日本は登録公報の発行から2か月)。

商標の不使用
 再び使用をしないという意図をもって商標の使用をやめたとき、又は商標が連続して3年間使われていない場合は、登録商標を放棄したものとして取り扱われます。

更新
■商標登録後5年~6年の間に「使用宣誓書」と「使用証拠」を提出する必要があります。
■存続期間は登録日から10年で、10年毎に更新できます。更新の際にも「使用宣誓書」と「使用証拠」を提出する必要があります。

国際商標出願(マドリッドプロトコル)で米国を指定する場合の留意点
■「標章を使用する意思の宣言書」の提出が必要です。
■色彩を含む商標の場合には、色彩の主張を願書に記載する必要があります。
■国際商標出願でも指定商品又は指定役務を具体的に書く必要があります。
■国内出願と同様に、登録後5年~6年の間と更新時に、「使用宣誓書」と「使用証拠」を提出する必要があります。


1 米国には、連邦全体の商標制度と州毎の商標制度が存在します。しかし州で登録した商標の保護範囲は州内に限られるので、日本企業が州毎の制度を使うことは殆どありません。

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