阿部 央
Hiroshi Abe

資格・役職

博士(工学)

取り扱い分野

特許
電気・電子・ソフトウェア

略歴

東京工業大学 工学部 電気電子工学科 卒業
東京工業大学大学院 社会理工学研究科 人間行動システム専攻 修士課程 修了
東京工業大学大学院 社会理工学研究科 人間行動システム専攻 博士課程 修了

Yale University School of Medicine、Rockefeller University、国立精神・神経医療研究センター、理化学研究所において、前頭前野皮質の意思決定と学習、並びに、視覚・眼球運動の神経生理学・解剖学的研究に従事。

研究内容

  • (1)博士課程では、東京工業大学大学院社会理工学研究科人間行動システム専攻および理化学研究所脳科学総合研究センターにて、行動学習についての脳内メカニズムの研究を行いました。単一細胞活動記録法と強化学習の理論的枠組みを組み合わせるアプローチを用いて、前頭前野皮質内側部の神経細胞の活動が行動価値の予測誤差を表現することを明らかにしました[1]。

  • (2)イェール大学では、同じアプローチを用いて、モデルベース強化学習と前頭前野皮質の関係について研究を行いました。我々は後悔を感じるときもあるように、自分が選択した行動の結果からだけではなく、自分が選択しなかった行動の結果を考えることによっても学習を行います。そのような自分が選択しなかった行動の結果は、前頭前野皮質背外側部および前頭眼窩皮質の神経細胞の活動が表現していることを明らかにしました[2]。また、この研究に関連する知能と脳科学に関する本を訳しました(「知能の誕生」、木鐸社、デヨル・リー著、阿部央訳、2020)。

  • (3)ロックフェラー大学では、成体における大脳皮質の可塑性を調べる研究を行いました。電極アレイを用いて神経細胞の活動を長期的に観察したところ、成体においても、末梢神経の損傷に伴って大脳皮質の神経回路の再構成が行われていることを明らかにしました[3]。

  • (4)国立精神・神経医療研究センターおよび理化学研究所では、大脳皮質の神経回路のデータベース作成および視覚・眼球運動の脳内メカニズムについての研究を行いました。ウイルスベクターにより蛍光たんぱく質を神経細胞に発現させて、蛍光顕微鏡や二光子顕微鏡を用いて神経細胞の形態や活動を測定することで、多数の脳領野の神経投射様式を明らかにし、また、頭頂葉の視覚・眼球運動関連領野を同定しました([4-5])。

  • [1] M. Matsumoto*, K. Matsumoto*, H. Abe*, and K Tanaka, "Medial prefrontal cell activity signaling prediction errors of action values", Nature Neuroscience, 10(5), 647-56, 2007 (*:co-first author).
    [2] H. Abe and D. Lee, "Distributed Coding of Actual and Hypothetical Outcomes in the Orbital and Dorsolateral Prefrontal Cortex", Neuron, 70(4), 731-41, 2011.
    [3] H. Abe, et al., "Adult Cortical Plasticity Studied with Chronically Implanted Electrode Arrays", Journal of Neuroscience, 35(6), 2778-90, 2015.
    [4] H. Abe et al., "3D reconstruction of brain section images for creating axonal projection maps in marmosets", Journal of Neuroscience Methods, 286(1), 2017.
    [5] H. Abe et al., "Axonal Projections From the Middle Temporal Area in the Common Marmoset", Frontiers in Neuroanatomy, 12:89, 2018.

《ひとこと》
これまでの研究経験を活かし、お客様の発明の保護に努めてまいります。

休日の過ごし方

家族(妻と息子)で一緒に公園などに行くことが多いです。一緒に過ごして子供の成長を見るのが楽しみです。