今年の論文試験、ざっとですが見てみました

2020.11.13

 皆様こんにちは。RYUKA国際特許事務所の和田でございます。
 11月8日(日)、弁理士論文必須試験がありました。受験された皆様、本当にお疲れ様でした。

 翌日には特許庁ホームページに問題と公表論点が出ておりましたね。私も少し見てみました。あまり細かくは言及できませんが、それぞれの科目について、私が感じたことをお伝えします。

 1.特許法・実用新案法
 相変わらず小問が多いですね。そして問題文が長いです。しかし、全ての小問・設問が難しいとは限らないと思います。したがって、時間と紙幅を割く必要がある問題、ない問題との見極めが大事になります。論文の解答に慣れてくると、問題を読みながら、「この小問には3~4行くらいしか割り当てられないな」「この問題は紙面を割いた方がいい」等の判断ができるようになります。
 また、問題文が長いということは、解答をどう書けばよいのか、問題文の中に書かれていることが多いです。解答する側としては、問題文でナビゲーションがあれば、素直に従って解答していけばよいのです。問題文の分量が少ないものより、その点で楽だと思います。
 余談ですが、問題Ⅰ、問題Ⅱのいずれにも「抗ウイルス作用」「ウイルスを不活性化」などとあり、あぁ、今年の試験だなぁ…と感じました。

 2.意匠法
 ここ数年、問題文が少なく、自身でどう答案を書いていくか考えねばならない問題が多かったです。が、今年は問題Ⅰでかなり具体的な事例、時系列を問う問題が出ました。しかも出てくる意匠の数も複数で、類否関係が単純ではありません。
 私が初めて論文試験を受けた平成27年の問題に似ているな、と思います。ちなみにその年は論文不合格でしたが、意匠法だけは合格点をとることができました。もう5年前のことですが、問題文の設定と解答に矛盾が生じないよう、慎重に答案構成していったことを覚えています。ちなみにその翌年の平成28年は、意匠で基準点を下回り、総合で合格点をとれたのですが不合格になりました。

 3.商標法
 商標の問題Ⅰ、毎年出ていた問題形式だなぁと感じました。今の自分であれば、条文の記載だけで乗り切ってしまうと思います。
 商標法でよく見かけるのですが、「説明せよ」と「論ぜよ」で、紙幅の割き具合がだいぶ違いました。「説明せよ」の場合、上手く書けないときは、適した条文をそのまま文章として書いていくことにしました。一方「論ぜよ」の場合は紙幅をかなり割きました。今年の問題も最後のものが「論ぜよ」でしたが、私が受験した3年前、平成29年も類似していたと記憶しています。結論も大事ですが、結論にいたる論理展開も重要のようで、全く異なる結論を書いた方同士が両方とも合格していた、という話も耳にします。
 
 論文試験は合格してから3年が経っているため、今解けと言われても時間内に解き切る自信がありません。ただ、勉強している間は楽しく(短答の勉強がつらかったこともありますが)、点数が安定してとれるようになる頃に合格することができました。来年受験される皆様には、まだ時間がありますので、じっくり取り組んでもらえたらと思います。

勝手ながら、弁理士試験についての連載、今回をもって最後となります。お読みいただいた皆様、誠にありがとうございました。弁理士受験生の皆様が、見事最終合格し、弁理士として活躍されることを願っております。