オーストラリアにおける許可(特許査定)の延期請求

2023.10.20
弁理士・米国弁護士 龍華 明裕

 オーストラリアでは、特許の許可前は請求項を(サポートがある限り)自由に補正できますが、許可後は請求項の範囲を、狭めることしかできずシフトまたは拡大することができません。そこで、自由な補正の機会を確保するために許可の延期を請求することができます。

1. 延期請求の時期
 通常、審査請求時に請求します。出願時に審査請求する場合は、出願時に許可の延期も請求することになります。なお審査請求は、オーストラリア特許庁が審査請求を指示してから2か月経過する前であればいつでも行うことができます。

2. 延期請求の効果
 許可できる場合でも、延期請求が取り下げられるまで許可されないことを示す「審査報告書」が送付されます。その後に延期請求が取り下げられると、通常、許可されます。

3. 請求の目的
 典型的な目的は補正の機会を得ることと、特許を遅らせることです。弊所では戦略的に「進歩性に何ら疑義がない程に特許性が高い場合には、権利範囲を広げて再審査を受ける」手段としても活用することをお勧め致します。

4. 延期請求後の審査の流れ
 審査報告書 ➡応答(延期請求を取り下げる)➡許可通知 ➡料金支払 ➡特許

 応答から6週〜10週程度で次の通知が送付されます。
 応答時に延期請求を取り下げなければ、通常は再度、審査報告書が送付されます。

ご不明な点がございましたら、どうぞご連絡ください。

以上