2024年インド特許規則改正

2024.04.23
弁理士・米国弁護士 龍華 明裕

2024年3月15日に、インド特許規則の改正が施行されました。主な変更点をまとめましたので、ご参考ください。

1. 外国情報提出義務の緩和

 外国出願の情報 (Form 3)

従来、規則12(2)は、インド出願時に提出できない外国出願の情報は、外国出願から6月以内にインド特許庁へ提出しなければならないと規定していました。
今回の改正により、上記情報は、インドの最初のOAから3月以内に提出すれば良いことになりました。

 外国出願の審査書類

従来の規則12(3)は、インド’特許庁長官が外国出願の審査書類を要求をした場合、要求から6月以内に提出しなければならないと規定していましたが、同要求は、OA中に毎回記載されていました。
今回の改正により、長官は原則自力検索を行い、必要がある場合のみ出願人に要求することになりました。ただし、同要求が来た場合、要求から2月以内に提出しなければなりません。

 上記の規定は、出願済みの案件にも適用されます。
 改正後の、インド特許庁への他国情報の提出要件をご参照ください。

2. 分割出願

分割出願からさらに分割出願することが許容されました。


3. 出願審査の請求

出願審査の請求期限は、 優先日から31月になりました。
ただし、法改正の施行日(2024年3月15日)以前に出願(PCT経由の場合は国内移行)した案件には、従来の48月の期限が引き続き適用されます。


4. 新規性喪失の例外

インド特許法31条は、発明が展覧会で展示され、論文で発表されても、同公表から12か月以内に当該発明の特許を出願する場合には、当該発明は新規性を喪失していないと規定しています。
今回の改正では、新規性喪失の例外の手続きを行うための書類(Form31)が導入されました。


5. 登録前異議申立

 異議理由のヒアリング

特許庁長官はヒアリングを行い、異議申立人から異議理由を聴取することができるようになりました。
ヒアリングから1ヶ月以内に、長官はその異議申立てを棄却するか、一時的に認容するか(prima facie acceptance)を決定し、その理由を記載しなければなりません。

 出願人の陳述

異議申立ての通知を受け取った出願人は、2月以内に陳述書と証拠を提出しなければなりません。

 手続規定

登録後異議の規定(費用の負担、ヒアリングへの出席通知等)は、登録前異議にも適用されます。


6. 実施報告制度

従来、特許の実施報告書は、特許登録の翌年度から、毎年度提出しなければなりませんでした。
今回の改正により、報告書の提出頻度は3会計年度に1回と改正されました。また提出期限は、当該3会計年度の満了から6月以内になりました。
例えば、2024年3月20日に登録された特許については、2028年9月30日までに初回の実施報告書を提出しなければなりません。

ご不明な点等ございましたらご遠慮なくお問い合わせください。

参考:インド特許庁の公式通知