価値を生む特許は出願件数が伸びる前に作られています

所員へのメッセージ

 

価値を生む特許は出願件数が伸びる前に作られています

◆2007年7月の全体ミーティング ~特許ビジュアライゼーション~

東芝テック出願

 これはマッサージチェアに対する出願件数のグラフです。この発明は、後に東芝テックが15億円という、高額な損害賠償を取得しています。
 東芝テックの特許は1993年に出願されています。出願件数の伸びの中でどんな時期にあたるかというと、マッサージチェアに対する出願件数が大きく伸びる、随分初期の頃に出されていることが分かります。

アルゼ出願

 84億円という、さらに高額な損害賠償を取得した特許があります。それがアルゼ特許と呼ばれる、スロットマシンに関する特許です。アルゼの特許は1988年に出願されています。件数の伸びを見ると、アルゼの特許は、スロットマシンの出願が集中する時期よりも、ずっと前の段階で出願されています。

 この2つの例が示しているのは、出願件数が伸びる前に出願されている特許は、大きな価値を得る可能性があるということです。日本の特許は、製品が世の中に出てきた頃に、各企業から一斉に出願が行われる傾向があります。そうなると、強い特許はなかなか生まれません。価値の高い特許を生み出すには、もっと手前の段階で出願することが重要です。


日本が強い特許を生み出しにくいのには、原因があります。

1.発明者は特許提案書作成のノルマに追われている

 企業に身を置く発明者の多くには、「毎年●件の特許提案書を作成する」というノルマが課されています。ノルマに追われるうえ、完成度の高い提案書が要求されますから、発明者がそれだけの提案書を書こうと思ったら、よく出来上がっている発明の中からピックアップすることになりがちです。自分の開発している製品のなかから、その一部を出す。ところが、それは今年や来年に製品になるものですから、競合他社もこぞって出願してくる技術です。こういった目の前の技術は権利範囲が狭く、大発明が眠っている可能性は低いのです。
 さらに、日本は改良発明が非常に多い。既存の技術と違いがほとんどないような、小さな開発が数多く行われていて、今まで見たことがない、全く新しい発明はなかなか生まれにくい。改良発明は権利範囲が狭いため、価値の高い特許にはなりにくいんです。

2.特許に対して意欲を持てない環境

 優秀な発明者ほど、自分の能力の向上に関心を持っています。しかし、特許提案書を提出するだけでは発明に対してのフィードバックが得られないため、発明者がどんなに特許の出願を行っても、発明に対しての考え方や広げ方の能力を向上させることは困難です。発明者にとって特許は、「あまり関心がないが、会社から要求されるのでやらなければならない仕事」という位置づけになってしまう。これではいい特許は生まれません。
 優秀な開発者を特許出願の方向にどうやって巻き込んでいくか。どうやって「特許って面白いな」と積極的に参加してもらうかが、非常に重要なポイントです。

特許ビジュアライゼーションは、価値の高い特許を創出します。

 大発明になるのは、製品自体の概念となるような発明です。まだマーケットが出来上がっていない分野ですから、大きな権利範囲が取ることができます。権利範囲が広ければ広いほど、将来利益を得られる可能性は高くなります。
 発明者の頭の中には、コンセプト特許につながる、「こうだったらいいのに」というイメージが沢山眠っています。これらのイメージを何とかして世の中に活かせる形にしていこうと。そう思って始まったのが特許ビジュアライゼーションです。
 特許ビジュアライゼーションは発明者の暗黙知を発掘します。暗黙知は形式的な知識としてミーティングの参加者に共有され、知恵の創発によって具体化されていきます。暗黙知が次第に具体化されていくなか、発明者には非常に重要なフィードバックが行われます。
 自分がふっと言ってみたことから、発明として具体化され、文章化され、出願まで行きつくという経験を通して、発明に対する思考力が身に付くためです。

 発明者が持っているアイディアを実現させていけるのは、我々特許関係者だけです。特許ビジュアライゼーションを通して発明者の想いを支援し、事業化によって大きな利益を生むことは、社会に対して大きな貢献と言えます。
 今後もどうすればお客様への貢献を拡大していけるかを真剣に考え、自分たちのスキルを高め続けていきたいと思います。そのために、みなさんの一層の協力をお願いします。

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