実施可能性要件(第112条、第1パラグラフ)新ガイドライン

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実施可能性要件(第112条、第1パラグラフ)新ガイドライン


著者:  パートナー  Paul E. White
訳者:  弁理士  龍華 明裕(Ryuka)

 米国特許商標庁は、長く待たれていた審査官用トレーニングマニュアルを1996年8月に発行した。このマニュアルは、第112条の第1パラグラフ((1)と略記する)の下で実施可能性要件を評価するための詳細なガイダンスを与える。このマニュアルは、"35USC§112 First Paragraph Enablement Training Manual"(第112条(1)実施可能性要件トレーニングマニュアル)と題され、主に化学及びバイオテクノロジーの特許出願に関連している。

 第112条(1)により明細書には、発明の内容を記載すると共に、当業者が同一の物を製造し使用することができる程度に、製造および使用の方法およびプロセスを記載しなくてはならない。このマニュアルはこの様な法上の要求から始まり、特許審査官および特許実務者が実施可能性要件を判断するための広い視野を与えている。またマニュアルは、第112条(1)の実施可能性要件および記載要件を区別する基本的事項から、特定発明の明細書およびクレームの例についての詳細な実施可能性要件の分析にまで至っており、特許審査の手続またはハウツーを網羅している。実際、このマニュアルのテキストは法的な先例の説明および論考を与えており、実施可能性を判断するための分岐図を含めて45ページ、付録の実例が約360ページ、全部で約5センチの厚さを有する。

 化学/バイオテクノロジー団体で話題の事項を扱った多くの判決が引用され論考されている。例えば、In re Deuel(34USPQ2d1210,1216, 連邦巡回裁判所1995年)に基づいて次の指示が与えられている。

 「識別される特定シーケンスを有する特定の名称の蛋白質を有する、精錬分離されたDNAシーケンスがクレームされている場合は、拒絶は一般に適切ではない。」(マニュアル18ページ)

 いくつかの節は特許実務者を喜ばせるだろう。例えば「審査官は常に、実施可能な許可され得る主題を探し、そのような主題が何であるかについてできるだけ早く出願人と連絡を取るべきである。」と記載されている。(強調は特許商標庁による、同37ページ。)

 このマニュアルはまた、拒絶を覆すための実例の開示、生体条件/試験管条件の関係、分析評価、実験の量、文献の参照、および証拠等の関連する問題を扱っている。マニュアルに添えられた広範囲な実例は、交雑プローブ、試薬、肥満治療ペプチド、実施可能性要件および先行技術による拒絶、遺伝子療法、リセプタ・アンタゴニスト、遺伝子導入動物、HIV、アルツハイマー病、ポリマー、DNAおよびワクチンに関する実施可能性要件の問題を扱っている。

 このマニュアルは、第112条(1)の実施可能性要件を評価する審査官および特許実務者の双方に多くの手引を与える。全マニュアルを、特許商標庁からフロッピーディスクで得ることができる(FAX 703-308-9690)。また晩秋には、特許商標庁のワールドワイドウエブサイト、http://www.uspto.govからも得られる。マニュアルのテキスト部分は、私達のウエブサイトhttp://www.cushman.com/articles/enablement.htmから得ることもできる。

 コメントがございましたら、またはマニュアルのテキストおよび/または選択した実例のコピーをご希望の場合はどうぞご連絡下さい。


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