米国におけるIDSの内容的要件

米国特許情報


 リストへ戻る

米国におけるIDSの内容的要件


1998年4月
RYUKA国際特許事務所

 IDSの内容については規則1.98及びMPEP609に記載されている。具体的には下記の3つの書類を提出しなくてはならない。日本では特に下記(C)が誤って理解されている場合が多いので注意を有する。

(A)文献のリスト(規則1.98(a)(1))  

米国特許庁へ提出した全ての文献をリスト書きしたものを提出する。明細書の中で文献に言及した場合でも、リストの提出を省略することはできない。

リストへの記載内容(規則1.98(b))   

米国特許の場合        :特許権者、特許番号、及び発行日   

他の特許または特許出願の場合:国名、書類の番号、及び公開日   

他の公開文献の場合      :著者、タイトル、関連あるページの番号
公開された年及び月(例外あり、MPEP609)、並びに公開された場所

(B)文献のコピー(規則1.98(a)(2))  

原則として、全ての文献のコピーを提出する必要がある。ただし:  

・継続出願等の親出願において既に提出され、又は引用された文献のコピーを提出する必要は無い(規則1.98(d))

・各国へ実質的に同一の出願が行われている場合は、それらの一つのコピーを提出し、その旨のステートメントを記載すればよい(規則1.98(c))。

・継続中の米国特許出願のコピーを提出する必要は無い(規則1.98(a)(2)(iii))  

・文献の英語による翻訳が既に手元にある場合等には翻訳も提出しなくてはならないが、IDSの為に文献の翻訳を行う必要は無い。(規則1.98(c))

(C)発明との関連性の「簡単な説明」(規則1.98(a)(3))  

英語以外の文献を提出する場合には、その英語以外の文献と発明との関連性の簡単な説明を添えなくてはならない(規則1.98(a)(3))。  

・文献の中のある図面又はパラグラフが、クレームされた発明に関連すると示すのみでも良い(MPEP609)。  

・「簡単な説明」は、英語の文献に対しては要求されない(規則1.98(a)(3))。  

・「簡単な説明」は、明細書の中に記載しても良い(規則1.98(a)(3))。  

・PCTや欧州の調査報告で先行文献が引用された場合には、調査報告の英語版を提出することにより「簡単な説明」の提出に換えることができる(MPEP609)。  

・日本の拒絶理由によって先行文献が引用された場合は、引例の特に関連がある部分を指摘する記載が拒絶理由通知の中にあれば、その記載を訳せば良い。(他にも要件有り、規則1.98(a)(3)、MPEP609)

(D)その他

IDSの法的要件を満たすためには上記3つの書類を提出するのみで足りるが、登録後の権利行使を容易にするためには、できるだけ多くの先行技術文献を、予め審査官に十分に考慮してもらうことが好ましい。これにより、権利行使時に権利が無効と判断される可能性を低めることができるからである。特に、行使を試みられた米国特許の約半分が無効にされている現実に鑑みれば、先行技術文献の審査を経たという出願経過を作っておくことは大きな意義を有する。

そこで例えば、発明との関連性に関する「簡単な説明」を提出するのみでなく、重要な部分の翻訳文を提出することが勧められる。また重要な出願に深く関連する文献が発見された場合には、万全を期すために文献の全文翻訳を提出するという方法も考えられる。但し、これらはあくまで登録後の権利行使を容易にするための対処であり、IDSに関する法的要求と混同しないように留意する必要がある。

 


 リストへ戻る

 PageTop