大きな事務所に成長しつつある今、大切にしたいこと

2010.04.01
おはようございます。

全体ミーティングでいつも皆に集まってもらっているわけですが、こうして見ると随分人数が増えましたね。以前からいる人達も同じ感想を持つのではないかなと思います。

景気が悪くなって、事務所の環境が厳しくなっている中で、実は大変な面と、良い面の両方が生じているんですね。一面では仕事が取り難い環境になっているのかもしれない。でも良い面としては、そのおかげで優秀な人達を採用することができる。就職先が少ない環境の中でより良い人が採用できる、そのおかげで我々はこの1年、随分成長しています。

物事には大抵、良い面と悪い面との両方あって、必要に応じてどちらの面を意識するかを自由に選択することが大切です。環境が厳しいと、つい悪い面ばかり見えてしまうんですね。日本経済全体の環境ということだけではなくて、もっと小さな意味で自分のグループ、あるいは自分個人の環境が大変なことは、よくあることだと思うんです。私の人生にも常にある。そういうときにもう一回「両面があるはずだ」と考えることが本当に大事だと思っています。その状態におけるプラスの面をどのように使っていくかを積極的に考えると、そこにチャンスが見えてくる。

そのようにして我々の所員数は増えてきていますが、それがただの「烏合の衆」になっては意味がない。前に言っていることと繰り返しになってしまうかもしれないけれども、「スケール」を学習を加速するためにきちんと活かしたい。学習を加速するためにスケールを活かすというのは、ミスなどにより誰かがどこかでちょっとしたことに気付いたときに、それによって全員が学習するということです。

ミスにはこれにも両面があって、例えばGoogleでは誰かがミスをしたら「おめでとう!」と皆で拍手するんです。なぜならば「ミスがあった」=「何を改善すれば良いか見つかった」ということだから。私が以前いたキャノン株式会社でも、工場のラインの中で何か良くないことが見つかったときに、それを改善提案という形で出すわけです。改善提案の数が多いと、評価されて少し手当ても出たりします。やはり何かミスがあったということは、キャノンの中でも学習のチャンスとして見ていたし、トヨタの改善活動もその点では同じですね。

我々もやはり、一つの小さいミスからでも「全員が学ぶ」ということができるようにしたい。そのためにはきちんとした組織の構造が必要です。誰かが何かミスしたときにそのことをきちんと上層にあげてくれる。そして上層で対策が共有されて全部署に伝えられる。そういったことがきちんと機能して初めて「スケール」を活かした学習の加速ができます。

このように学ぶことに対して貪欲になることは、慢心しないということと表裏一体ですが、それはプロフェッショナルとしての実は根底を成すと意識だと思います。我々は、段々経験を積んでくると、つい自分が「解っているつもりになる」、あるいは「解っている振りをしてしまう」ときがある。だけれども、やっぱり我々は「まだ知らない」という前提に立ち続けるということが大事だと思います。

例えば、新しいお客様に会ったとき、我々がどんなに過去の他のお客様のことを経験していたとしても、実は、今、目の前にいるお客様に対しては、過去に積んできた経験とアドバイスはそのままじゃ全く役に立たないのかもしれない。そのお客様は、全く違う個別の事情を持っているのかもしれない。そこでは「自分はまだ相手を知らない」という前提に立って会話ができる必要がある。それは例えば「素直な質問をする」ということであって、その素直な質問をすることができる事自体が、お客様との間で信頼をダイレクトに築いていきます。なぜなら、それこそが本当のプロフェッショナルな姿であって、相手にコミットしている、相手に何ができるかを考えようとしている、そういうときに自然にとることができる行動だからなんです。

実は我々は、兄弟が、あるいは親が、「こういうわけで困ってしまって・・・」と言い始めたとしたら、必ず自動的に「質問」するんです。「どうしたんだ?」、「何?」、「それって何で?」って。多分、最初に起きるアクションは「相手の理解」だと思う。本当に大事な人が「困った」と言ったときに、自分から「そういう時は~で、~と~という手があるんだけど、一方にはこういうメリットがあるから、こうしたら・・・・」、そんな風に話し始める人っていないんです。本当に、本当に相手のことを大事に思っていたら、我々は自動的に正しく理解することに力を向けるんです。

仕事の場でも全く同じで、お客様に対して、そして社内のリーダやメンバーに対しても、きちんと相手とその状況を理解して、そこにきちんと対応しようとすること。それができることが本当の意味でのプロフェッショナルで、その気持ちを根底に持ち続けていることができれば、先のような「スケール」を活かした学習の加速ができていくんだと思っています。

こうやって大きな組織に成長をしてきているので、それをきちんと活かして、また前へ進んでいきたいと思っています。

では、解散。