実用新案の基礎的要件(実6条の2、実14条の3)
板書:実用新案の基礎的要件(実6条の2、実14条の3)_板書
特許法は審査主義(特47条)を採用する。これに対し、実用新案法は無審査主義(実14条2項)を採用する(平成5年改正)。
しかし、全くの無審査だと、実用新案法の保護対象でないものや、出願書類の体をなしていないものが権利化されてしまい、妥当でない。
そこで、実用新案登録出願に対し、従来から規定されている方式的要件(実2条の2第4項)に加え、平成5年改正にて、基礎的要件をも課すこととした(実6条の2)。
更に、平成16年改正までは、請求項の削除しかできなかった訂正(実14条の2)が同改正にて実用新案登録請求の範囲の減縮等もできるようになったことに伴い、訂正後の内容にも基礎的要件を課すべく、実14条の3を新設した。
以下、条文を示す。
【実用新案法第2条の2第4項(方式的要件違反に対する補正命令)】
特許庁長官は、次に掲げる場合は、相当の期間を指定して、手続の補正をすべきことを命ずることができる。
一 手続が実2条の5第2項において準用する特7条1項~3項まで又は特9条の規定に違反しているとき。
二 手続がこの法律又はこの法律に基づく命令で定める方式に違反しているとき。
三 手続について実32条1項の規定により納付すべき登録料を納付しないとき。
四 手続について実54条1項又は2項の規定〔手数料〕により納付すべき手数料を納付しないとき。
【実用新案法第2条の3(手続の却下)】
特許庁長官は、前条4項、実6条の2〔補正命令〕又は実14の3〔明細書等の訂正〕の規定により手続の補正をすべきことを命じた者がこれらの規定により指定した期間内にその補正をしないときは、その手続を却下することができる。
【実用新案法第6条の2(基礎的要件違反に対する補正命令)】
特許庁長官は、実用新案登録出願が次の各号の一に該当するときは、相当の期間を指定して、願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面について補正をすべきことを命ずることができる。
一 その実用新案登録出願に係る考案が物品の形状、構造又は組合せに係るものでないとき。
二 その実用新案登録出願に係る考案が実4条(実用新案登録を受けることができない考案)の規定により
実用新案登録をすることができないものであるとき。
三 その実用新案登録出願が実5条6項4号(委任省令要件)又は前条(考案の単一性)に規定する要件を満たしていないとき。
四 その実用新案登録出願の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲若しくは図面に
必要な事項が記載されておらず、又はその記載が著しく不明確であるとき。
【実用新案法第14条の3(訂正に係る補正命令)】
特許庁長官は、訂正書(前条第一項の訂正に係るものに限る。)の提出があつた場合において、その訂正書に添付した訂正した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の記載が次の各号のいずれかに該当するときは、相当の期間を指定して、その訂正書に添付した訂正した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面について補正をすべきことを命ずることができる。
一 その訂正書に添付した訂正した実用新案登録請求の範囲に記載されている事項により特定される考案が
物品の形状、構造又は組合せに係るものでないとき。
二 その訂正書に添付した訂正した実用新案登録請求の範囲に記載されている事項により特定される考案が
実4条の規定により実用新案登録をすることができないものであるとき。
三 その訂正書に添付した訂正した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の記載が
実5条6項4号又は実6条に規定する要件を満たしていないとき。
四 その訂正書に添付した訂正した明細書、実用新案登録請求の範囲若しくは図面に
必要な事項が記載されておらず、又はその記載が著しく不明確であるとき。
引用出典1:知財Video「マルチはいいけど、マルチのマルチはいけません(全5講座)」
https://www.ryuka.com/jp/news/benrishi-shiken/27206/
引用出典2:知財Video「発明の単一性(特37条)(全7講座)」
https://www.ryuka.com/jp/news/benrishi-shiken/27204/
引用出典3:R7弁理士試験論文本試験問題及び論点
令和7年度弁理士試験論文式筆記試験(必須科目)問題及び論点 | 経済産業省 特許庁
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