いわゆる精神拒絶
板書:いわゆる精神拒絶_板書
商標法の拒絶理由は、商標法15条各号において限定列挙されている。
そのため、それ以外に拒絶理由は存在しないはずである。
しかし、実際には、裏メニュー的な拒絶理由が存在する。
それが「精神拒絶」である。なぜ、「精神拒絶」と言うのか?
条文に存在する客観的な拒絶理由と区別するためである。
では、具体的にどのような拒絶理由であるか?
「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものは、商標登録を受けることができない」旨規定する商標法4条1項11号という条文が存在する。
端的に言えば、先願に係る他人の登録商標と同一又は類似の関係にある後願商標は、商4条1項11号の拒絶理由(商15条1号)に該当し、商標登録を受けることができないということである。
一方、自己の先願登録商標と類似関係にある後願商標については、商標登録を受けることができる。
では、自己の先願登録商標と同一関係にある後願商標(出願人、商標、指定商品・役務いずれも同一)についてはどうか?
商標審査基準「第18 その他」の「2.」によれば、「商標法第3条の趣旨に反する」との理由で拒絶される。
これが「精神拒絶」である。
主体の同一、商標の同一は完全一致を意味し、指定商品等も完全一致であれば、文句なしに「精神拒絶」のケースである。
では、指定商品等が複数含まれている場合において、それら全てが完全に一致していることが要求されるのか?
今回は、その辺に主眼を置いて説明している。
引用出典1:商標審査基準 第18 その他
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/kijun/document/index/42_sonota.pdf
引用出典2:商標審査便覧41.01 商標法第3条の趣旨に反する場合の審査運用について
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/binran/document/index/41_01.pdf
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