意匠バリエーションの日本及び米国における出願方法

2018.08.24
弁理士・米国弁護士 龍華 明裕

意匠権保護の課題
  ①権利の幅が狭く、多少変更が加えられるだけで権利が回避される。
  ②出願人が使用する意匠も変更される場合が多い。
  ③本意匠が登録されると、類似する意匠を出願/権利化できない。
  ④バリエーションを予め個々に出願すると出願費用が大きい。
  ⑤特に意匠決定前に多くの意匠が考案されるが、全て出願すると費用が大きい。

対応策 (「↓」は優先権の主張(半年以内))
(1)類似範囲での対策
  ①米国:考え得る全てのバリエーションを一出願の実施形態に含めて出願する。
    ↓
  ②日本:本意匠、関連意匠の登録出願
      ※日本出願と関連意匠の選択を半年遅らせることが出来る。

(2)上記(1)で米国へ出願するか不明の場合
  ①日本:通常の意匠出願(複数の出願の場合もある)・・・日本で必須の部分のみ
   ↓
  ②米国:実施形態を追加した意匠出願(後に出願することになった場合)
   ↓    ※優先権を享受できないバリエーションも含める。
   ↓
  ③日本:米国で追加した部分の意匠出願(関連意匠は、元の日本出願の登録前)


(3)非類似(単一性を満たさない)範囲での対策
  ①日本:多数の意匠を記載して「特許出願」を行う。
   ↓   審査請求期限(3年後)までに分割して意匠登録出願に変更する。
   ↓   ※意匠の選択と権利の満了を3年、先延ばしすることができる。
   ↓   ※関連意匠の出願を特許出願の公開まで約1年半遅らせることができる
   ↓   ※カナダ、中国など、特許出願からの優先権を認めない国があるので注意
   ↓
  ②米国:多数の意匠を出願に含める。
      分割要求を受けたら削除し、
      Allowanceを受けたら削除していた意匠を分割出願する(出願の約2年後)。
       ※分割意匠の選択と権利満了を、先延ばしすることが出来る。
       ※日本の意匠審査前に登録されるので日本の引例のIDSが不要

米国での注意事項
(1)差止請求の制限
 差し止めが認められるためには、意匠権が侵害されている事の他に、以下のa~dの要件を満たす必要があります。特に米国で製品を販売していない場合は、a. b. c.により差し止めが認められない可能性が高いので注意が必要です。
   a. 差し止めなければ耐え難い損害(irreparable injury)を被ること
   b. その損害は、損害賠償だけでは十分に救済できないこと
   c. 原告・被告双方の困窮程度の均衡(balance of hardship)を考慮すること
   d. 差止めを行っても公益(public interest)が損なわれないこと
 
(2)損害賠償請求の制限
 差し止めが認められにくいので、侵害を防ぐためには損害賠償が重要です。
 損害賠償を請求するためには、製品へのマーキング(または実施者への通知)が必要です。マーキング方法の詳細情報が必要な場合は、ご連絡ください。

 なお最適な戦略はお客様の事情に応じて異なります。貴社のご事情をお伺いしてから正式に出願戦略ご提案をさせていただきますので、どうぞお気軽にご連絡ください。

以上


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