米国出願における不正行為

2019.10.01



弁理士・米国弁護士 龍華 明裕

 米国では、特許権/意匠権を得るまでの手続に不正行為(フロード)があるとそれを理由に権利が行使不能になります。このため権利を行使しようとすると、相手は必ず特許権者/意匠権者の手続にフロードが無かったかどうかを争います。従って米国ではフロードを侵さないことが非常に大切です。

 日本の出願人が侵しやすいフロードは、発明者/創作者の宣誓書のサインの瑕疵と先行技術の開示違反です。裁判で行使不能とされない権利を取得するために特に下記の点に御注意下さい。

宣誓書(Declaration)兼譲渡証書(Assignment)にサインする際の注意事項
・宣誓書には「私は明細書を読んだ」と書かれています。これが虚偽になるのを避けるべく、
 明細書を読むまでは決してサインをしないでください。
・原稿を「少しでも」修正する必要がある場合は、修正後の原稿を受け取り、内容を確認する
 までサインをしないで下さい(宣誓書件譲渡証書は、出願後でも提出をできます)。
・日付(Date)の欄には、実際にサインした日を記入して下さい。
・日付と署名欄以外は手書きで記入しないで下さい。

先行技術の開示に関する注意事項
 出願人は、出願した発明/意匠の特許性/登録性に影響を与える可能性のある文献であって出願人が認識しているものを特許庁へ知らせなくてはなりません。

 出願人がそのような文献を認識していたか否かは、一見、裁判でも分からないと思えるかもしれません。しかし米国の裁判には、厳しい証拠提出(ディスカバリー)制度が存在するので、存在を認識していたことを最後まで隠すことは極めて困難です。証拠の提出を拒んだ場合や、証拠文献を廃棄した場合には、日本と比較して非常に容易に、その様な文献を有していたと推定されます。ペナルティーとして、それだけで敗訴が確定する場合もあります。

 そこで、特許性/登録性に影響し得る文献が発見された場合は、遅くとも2月以内に文献のコピーをご送付下さい。

 御質問等がございましたらどうぞ御連絡下さい。 

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