翻訳文提出前の補正
翻訳文提出後に行う予定の補正が新規事項を導入しないことが明らかであれば、補正内容を翻訳文に反映してから提出する事ができます。
コストが削減される:
すると、補正書の作成コストと提出コストが削減されます。
方式違反にならない:
方式課は翻訳が正確であるか否かを審査してないので方式違反になりません。
拒絶理由にならない:
変更により新規事項が導入されない限り、翻訳文が正確な翻訳でないことは拒絶理由になりません。万一、審査官が誤訳を指摘しても誤訳訂正書により訂正することが出来ます。更に万一、誤訳の訂正が認められなくても英語で分割出願をすることにより救済することが出来ます。
無効理由にならない:
翻訳文が正確な翻訳でなかったことは、無効理由になりません。
意訳の奨励:
審査基準は、単語から単語への翻訳でなく、読みやすい翻訳を奨励しています。よってある程度の修正は審査基準により正式に承認されています。
手続無効にならない:
訴訟で被疑侵害者は、翻訳文が正しくないから真の翻訳文は提出されていない。従って出願が取下げ擬制されるべきだったと主張するかもしれません。しかし原文に含まれ翻訳文に含まれていない部分は、出願日から存在しなかったとみなされます(第36条の2第8項、第184条の6第2項)。また翻訳文の中に原文にない新規事項が含まれれば、拒絶/無効理由になりますが(第123条第1項第5号)、かかる拒絶/無効理由は補正又は訂正によって治癒し得ます。法上、正確でない翻訳も「翻訳文」として認めているので、「これは翻訳文でない」という理由で手続無効になることは極めて考えにくいです。
以上に鑑みて、明細書の補正が新規事項を導入しないことが明らかであれば、コストダウンを優先して翻訳文を変更することをお勧め致します。ただし新規事項の追加に該当するか疑わしい場合は、自発補正により、審査官が補正を認めるか否かを確認しておくことをお勧め致します。またコストダウンが重要でなく、むしろ如何なる反論を受ける余地も残したくない場合には、別途補正書を提出することをお勧め致します。
ご不明な点がございましたら、どうぞご連絡ください。