請求項に数値範囲の限定を含める場合の留意事項

2021.01.29
弁理士・米国弁護士 龍華 明裕


 数値範囲の限定によって拒絶理由を解消するためには、以下の要件を満たす必要があります。

補正要件(特許法17条の2、3項、審査基準IV部2章3.3.1(3))
 補正後の数値範囲が当初明細書に記載された数値範囲に含まれており、かつ補正後の境界値が、
 (i) 発明の詳細な説明に、境界値として明示的に記載されているか、または
 (ii) 課題、効果等の記載から境界値として記載されていると認められること。

進歩性要件(特許法29条2項、審査基準III部2章4節6.2)
 限定された数値範囲内で得られる効果が
 (i) その数値範囲内で常に得られ、
 (ii) 引用発明が有する効果とは異質か、または
   同種だが数値限定の内外で効果の相違が量的に顕著であり(臨界的意義)、かつ
 (iii) 出願時の技術水準から当業者が予測できないこと。

サポート要件(特許法36条6項1号)
 請求項に記載された数値範囲で常に好ましい効果を得られることが、明細書から理解できること。

 一部の範囲で好ましい効果を得られても、他の範囲で同様の効果を得られることを理解できなければサポート要件に違反します(審査基準II部2章2節2.2(3))。意見書で主張した効果が、数値範囲内の一部で得られるか不明な場合は、進歩性違反およびサポート要件違反の拒絶査定が通知されます。

 他の範囲でも効果を得られるか否かではなく、そのような効果が得られることを明細書から理解できるか否かが問題なので、出願後に実験データを提出してもサポート要件違反は解消しません(審査基準II部2章2節3.2.1)。

 ご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。

以上