米国におけるKSR後の自明性判断の動向

2007.08.06
弁理士 龍華 明裕

KSR最高裁判決後、CAFCの判断がどの程度厳しくなるのかが注目されていました。そこでKSR後のCAFC判決を見てみると、2007年5~7月に6件の特許侵害訴訟において特許の有効性が検討されており、その中で特許の有効性が認められていたのはわずか1件のみでした。他の事件では、KSR最高裁判決の文言を引用して特許性を否定し、または審理を差し戻しています。

 米国特許庁内部でも、審査ガイドライン(Examination Guidelines for Determining Obviousness Under 35USC103 in View of the Supreme Court Decision in KSR…)が配布されています。この審査ガイドラインでもまた、KSR最高裁判決の文言が忠実に繰り返されており、自明性の判断基準が厳しくなっています。

 RYUKAで行っている米国中間処理の経験上も、やはりKSR後、組合せ発明に於ける自明性の判断基準は高くなっています。

 これらの動向を見ると、今後米国では、特許庁および裁判所のいずれでも、自明性の判断基準が高まると考えられます。米国の拒絶理由(OA)への応答、米国明細書の作成、および米国出願の基礎となる国内明細書の作成において、これらの動向を正確に把握しておく必要があります。

 上記6件のCAFC判決の抄録をご紹介致します。本抄録は、DLA Piper の Andrew B. Schwaab 氏が原文を作成し、その主要部をRYUKAで翻訳しました。ご質問等がございましたら、「コンタクトフォーム」からご連絡ください。