米国出願において、発明者のサインが得られない場合の対応

2003.10.09

1.発明者が他界したとき

発明者の法定代理人(遺言執行者、相続人の代表など)が宣誓書にサインすることができます(米国特許法規則1.42)。発明者が他界したという理由のみでは、会社の代表者が代わりにサインすることはできません。


2.複数の発明者の一部が見つからない場合(およびサインを拒んだ場合)

他の発明者のみのサインによって出願することができます。(同1.47(a))
この場合は、特許庁に下記を提出する必要があります。
発明者が見つからないこと等の上申書と証拠
見つからない発明者の、分かっている最後の住所。


3.全発明者が見つからない場合(およびサインを拒んだ場合)

発明の譲渡を受けた会社(または、契約書により、発明の譲渡を受けることとなっている会社)の代表者が、書類にサインして出願をすることができます。(同1.47(b))
この場合も、発明者が見つからないこと等の上申書および証拠等を提出する必要があります。

ただし、発明者を捜すべくDiligent effort (誠実な努力)が尽くされていなくてはならないので、「連絡をしたけれど数日経っても返事がない」ということのみでは、「発明者が見つからない」というには不十分だろうと思います。

「会社が発明者に代わってサインをする旨の契約」は特に必要有りませんが、「勤務期間中に行った、業務(範囲を明確にした方が良いと思います。)に関連する全ての発明を会社に譲渡する旨の契約を作っておく必要があります。

なお日本の職務発明の範囲は「発明者の職務」の範囲に限られているので「会社の業務全体」の範囲よりだいぶ狭いのですが、日本では会社に譲渡すべき旨を「予め」定めておくことができるのは、職務発明に限られています(ただし法改正が議論されています)。これに対して米国へ出願する権利については、より広い範囲の発明を会社に譲渡すると予め定めておくことができます。