コンピュータ関連発明の審査ガイドラインの最終版をPTOが発行

1996.05.17

著者: パートナー デール S. ラザール
アソシエイト マーク ダニエルソン
訳者: 弁理士 龍華 明裕(Ryuka)
 

 数ヶ月間に渡る公衆の吟味とコメントを経て、PTOはコンピュータ関連発 明に関する審査ガイドラインを発行しました。61 Federal Register 7478(1996年2月28日)。新審査ガイドラインは、この議論の多い対象についての特許制度の発展における大切なステップです。新審査ガイドライン は、ローリー(32 USPQ2d 1031, CAFC 1994年)などの最近の判決に基づいて作成されており、判決に沿うことを意図しています。新審査ガイドラインは審査官を助けることを目的とすると述べら れていますが、特許明細書を記載し、また手続をして発明を守ろうとする私達にも 新審査ガイドラインは大きな助けになります。

 新審査ガイドライは、もはやクレームが「数学的なアルゴリズム」(「フリーマン・ウオ ル ター・エーベル」テスト)を示しているかどうかから審査を開始しないようにと審査官に指示しています。それに換えて、審査官は出願人が何を発明し何を特許 しようとしているかを判断するために、詳細な説明およびクレームを含む明細書の全体を考察します。ここで判断すべき審理の 焦点は、特許を求められている対象が「有用性」すなわち何らかの実用的な利用方法を有するかどうかです。主張された実用的な利用方法の少なくとも1つを達 成するために必要な主要な部分 を出願人が開示していると審査官が納得すると、この審理は完了します。

 ガイドラインは次に、出願人の発明を類別するべき、「適格性」(特許性)を有する主題 の分類と「非適格性」(非特許性)を有する主題の分類を確立しています。非適格性を有する主題としては、抽象的なアイデア、自然法則、または自然現象(例 えば、エネルギーまたは磁気)が含まれます。データ構成自体若しくはコンピュータプログラム自体のように「機能的」であるか、 または音楽若しくは文学自体ように「機能的でない」かに拘わらず、「記述的なもの」もまた非適格性を有します。

 ある機能を実行するためにプログラムされた、特定のコンピュータまたはプログラム可能 な装置、およびある機能を実行する特定のソフトウエアを格納した、コンピュータで読みとり可能な特定の体は適格性のある「製品」です。実用的な利用方法に ついての限定が無く、単に抽象的なアイデアを操作しまたは純粋に数学的な問題を解いているのでなければ、コンピュータ上で実 行される一連のステップは、通常は適格性のある「方法」です。

 この新しいガイドラインはPTO内部の手続にすぎず法的な効力はありません。しかしこ のガイドラインは、境界が明確な規定の1つの枠組み、および出願人が今コンピュータ関連発明を安全に守れると期待することができる安全な領域を与えていま す。ガイドラインは、この急速に発 展する技術分野の、安定性がある望ましい基準の一助となるでしょう。

 更に詳しい情報、または今特許され得るクレームの例については、CD&Cの1995年9月の知的所有権レポートをご覧下さい。この分野における疑問点がございましたらCD&Cへご連絡下さい。
* ガイドライン(最終版)の内容は、2月に東京で開催したセミナーのテキストに記載されてい るガイドライン(案)と完全に同一です。お持ちの方はそのままテキストをお使い下さい。なおテキストには、新ガイドラインに基づく2つの明細書の例を記載 しております。テキストをご希望の場合は Dale S. Lazar またはGlenn J. Perry へご連絡下さい。(実費)