米国における商標の使用証明

2020.04.20



弁理士・米国弁護士 龍華 明裕

 米国では実際に使用している商標のみが保護されます。このため出願した商標を実際に使用している証明(宣誓書面と使用証拠)を、定期的に米国特許商標庁に提出する必要があります。

1.提出する時期

(1) 登録前
 (A)使用意思に基づいた出願
 出願前に米国で商標を使っていない場合は、使用意思を宣誓して商標出願をすることができます。しかし許可通知(登録を認める旨の通知)を受けとってから6か月以内に使用証明を提出しなければなりません。なお、この期間は6カ月ずつ、最長で3年間延長できます。この間に使用証明を提出しなかった場合は、商標登録を受けることができません。

 (B)外国登録に基づいた出願
 日本での商標登録に基づいて米国へ出願をした場合、登録前に使用証明を提出する必要がありません。一方、日本の商標出願に基づいて米国に出願をした場合、米国で登録される前に日本出願が登録されるか、または米国出願後に「使用意思に基づいた出願」に変更する必要があります。

 (C)マドリッド協定に基づく国際商標登録出願
 米国を領域指定したマドリッド協定に基づく国際登録出願をする場合、出願と同時に使用する意思の宣言書(MM18)(使用証拠不要)を提出する必要があります。

 (D)米国での実使用に基づいた出願
 出願前から米国で商標を使っている場合は、出願時に使用証明を提出します。提出をしなかった場合は特許庁から提出が命じられ、その応答期限までに提出しなければなりません。

(2)登録後
 (1)のいずれの場合も、米国の登録日から5~6年の間(6カ月間延長可)、及び10年ごとに使用証明を提出しなければなりません。提出しないと米国の商標登録が取り消されます。従って審査期間を加えて、米国出願から6~7年の間に米国で商標を使わない恐れがある場合には、出願後に登録を遅らせることをお勧めします。方法については、別途お問い合わせください。

2.使用証拠
 宣誓には、商標を使用している全ての商品・役務を記載し、一部の使用の証拠を添付します。すべての指定商品・サービスについて証拠を提出する必要はなく、クラスごとに一部の商品・サービスについて証拠を提出すれば足ります。

 (1) 商品に使用したことの証拠(例)
 ・商標が付された商品の写真・カタログ
 ・商品のラベルやタグに商標が付されている場合はその写真
 ・販売目的の商品と直接関連があるバナー、ウィンドウディスプレイ、メニュー、カタログ
 (※条件付きで認められます。)

 (2) サービスに使用したことの証拠(例)
 ・商標と関連する広告・ウェブサイト 等

3.誠実に宣誓することの重要性
 米国はコモンローの国なので、権利を得る過程に虚偽や不正があった場合には、司法(裁判)による救済が著しく制限されます(クリーンハンドの原則)。また米国には広範な情報開示(ディスカバリー)の制度があるので、過去の虚偽や不正が裁判で明らかになります。

 商標を使用していると宣誓した商品またはサービスの一部について、実際には商標が使用されていなかった場合、現実に使用をされていた商品・サービスについても商標権を行使できなくなる恐れがありますので、十分にご注意下さい。

以上


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