ミャンマーへの商標登録出願

2020.09.03
弁理士・米国弁護士 龍華 明裕

 ミャンマーでは2019年に初の商標法が制定されました。施行日は未定ですが、商標法施行前の「ソフトオープニング期間」が2020年10月1日より開始される旨公式発表がありました。「締切日」(追って公式発表予定)までは、現制度のもと、商標所有権の宣言書(Declaration of Ownership of Trademark)を証書登記事務所(ORD:Office of the Registration of Deeds)に登録することで保護を図ることができます。
 
 ミャンマーで商標を守るには2つの方法があります。
1.商標法が施行されるのを待ち、施行後直ちに商標登録出願を行う。新法施行と同時に多数の商標が出願されると予想されるので,施行日を注意深く確認して、後れを取らずに出願する必要があります。

2.現制度下で宣誓書を登録し、新法施行前に定められるソフトオープニング期間(6か月)に、宣誓書登録権者として再度出願する。すると新法施行後に商標を出願する出願人に優先して商標が登録されます。ただし「締切日」前にすべての手続き(公証、認証等)を終える必要があり、費用を二重に支払わなければなりません。

現制度下での登録に必要な情報および文書
1.出願人の氏名/名称、住所、および国籍/法人設立国、
2.鮮明な商標見本(JPEG/PDFのコピー1部でよい)、
3.優先権情報及び文書(該当する場合)、
4.ニース国際分類に従った商品及びサービスのリスト、
5.公証人によって正式に証明され、関係国におけるミャンマー大使館によって認証された完全な委任状、および、
6.公証人によって正式に証明された完全な所有権宣言書。

現行制度下での商標出願料金(商標ごと)
ミャンマー商標出願料金

新法施行後に優先的扱いを受ける範囲
ソフトオープニング期間中に出願する商標の指定商品・指定役務は、証書登記事務所に登録した商標の商品・役務、またはミャンマーで実際に商標を使用していた商品・役務と同一である必要があります。後者の場合は、使用証明が求められます。新聞での警告的通知(Cautionary Notice)だけでは、使用証明になりません。

従って、ソフトオープニング期間の出願に商品・役務を追加するには(その商品・役務を既に販売・提供していない限り)証書登記事務所に登録しておく必要があります。なお、新聞での公告(Cautionary Notice)は任意であり、ソフトオープニング期間に再出願するための要件ではありません。

新聞広告に掲載する指定商品・役務の範囲
現制度下では、登録後、新聞に公告(Cautionary Notice)を掲載することが実務上行われています。新聞に数ページに渡る多数の指定商品・指定役務を掲載しても、そのことを理由に直接は不利益を受けません。ただし商標登録出願の指定商品・指定役務が増えるほど、下記のリスクが高まります。

1.不明確と指摘される商品・役務が増える
このため権利化コストが高まります。

2.類似商標が引用される可能性が増える
ソフトオープニング期間中に類似する商標が出願された場合に問題となります。

3.不使用取消請求を受ける可能性が高まる
新法下では商標を3年間使用していない商品役務が取消対象となります。それでも良い場合、日本では取消審判に応答する必要がありませんが、応答する必要がある国では商標権の維持コストが高くなります。

ご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。

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