USPTOの新通知 「Pre-Docketing Notice」 の活用

2026.06.05
弁理士・米国弁護士 龍華 明裕

米国特許商標庁(USPTO)は、新たな試行プログラム「Pre-Docketing Notice」の運用を開始いたしました(2026年5月29日)。本プログラムの概要と活用方法をご紹介いたします。

1. 本プログラムの概要

本プログラムは、「特許出願の実体審査が開始される約3ヶ月前」に、USPTOが出願人に「通知」を行うものです。出願人は本通知を受けて、以下の対応を採ることができます。

▪ 先行技術文献のIDS提出

▪ クレームの補正

▪ 不要になった出願の放棄(調査手数料や超過クレーム料金の返還を受け得る)

なお、本通知への応答義務はなく、何も対応しなければ自動的に通常の審査へ進みます。

2. 活用方法のご提案

(1)IDS提出回数の集約によるコスト削減

IDSは「出願から3ヶ月以内」または「最初のオフィスアクション(OA:拒絶理由通知等)が発行される前」であれば、追加の庁費用を支払うことなく提出をできます(資料:米国IDSの要件)。

  • 【従来の課題】
    従来は、最初のOAがいつ発行されるか予測困難だったので、米国出願時の他、他国で拒絶理由通知が発行される都度、IDS提出せざるを得ず、その都度代理人費用が生じていました。
  • 【新制度の活用】
    今後は、本通知を待って、それまでに知った先行技術文献をまとめてIDS提出することで、代理人費用を削減することができます。

本通知はUSPTOのサービスの一環であり、法律で保障されているものではありません。しかし万が一、本通知が届かなかった場合でも、庁費用(Large Entity 260ドル)を支払うことで、最初のOA後にIDS提出することができるので、リスクは十分に小さいです。

(2)継続出願や分割出願のクレーム補正時期

継続出願や分割出願では、他社動向を確認したうえで、できるだけ遅いタイミングでクレームを補正したい場合があります。継続出願や分割出願に対しても、本通知が発行されると思われます。そこで特にこれらの出願では、本通知を待って競合他社の最新製品や出願をリサーチし、競合製品を捉えるようにクレームを補正することをお勧めいたします。

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