キャラクターの商標保護

2019.10.07
弁理士・米国弁護士 龍華 明裕

1.著作権との関係
 キャラクターの図柄を作成した時点で図柄の著作権が発生します。貴社が作成したキャラクターの図柄を、複製し、または複製したキャラクターを付した商品を販売する行為は貴社の著作権を侵害します。

(1)著作権の限界
 しかし貴社の著作権は、他人が自ら作成したキャラクターの図柄には及びません。他人が作成した図柄が貴社のキャラクターと類似していてもです。このため著作権侵害を立証するためには、他人が貴社のキャラクターの図柄を複製等したことを証明しなくてはなりません。これに対して商標権は、他人が自ら考案した図柄にも及ぶので、侵害の立証が容易です。

(2)他人の著作権の侵害
 ただし商標登録をしても、商標の使用が他人の著作権を侵害する可能性があります。このため、外部のデザイン会社にキャラクターを考案してもらった場合は、改版権を含む著作権の譲渡を受けると共に、第三者の著作権を侵害しない旨の確認をする必要があります。

(3)商標権の限界
 商標権は「商標としての使用」、すなわち他の商品と識別するために、標章を商品、商品の包装、または広告等に付す行為等にしか及びません。例えば、プログラムの中でキャラクターが登場しても、そのキャラクターが商品等に付されていなければ商標権は及ばないのでご注意ください。

2.商標の選択
(1)何を商標登録出願すべきか
 ① 図柄
 一般的には「商標として使用」される可能性があるキャラクターを出願すれば足り、例えばプログラムの中だけで登場する可能性があるキャラクターを出願する必要はありません。キャラクターは多様な姿勢や表情に変化する場合が多いのですが、商標権は類似する商標に及ぶので、「商標として使用」される図柄の中で、重要な図柄を商標登録出願することをお勧めします。

② キャラクターの名前
 キャラクターの名前も商標権で保護することができますが、著作権では保護されません。そこで商品等にキャラクターの名前を付して販売する計画がある場合には、キャラクターの名前や、キャラクターの名前にちなんだ商品または役務の名前も商標登録しておくことをお勧めします。

(2)名前の選択
 商品等を外国でも販売する可能性がある場合は、予め下記に留意して名前を選択する必要があります。
  ①外国でも覚えられやすい名前であること
  ②外国語での印象が良い名前であること
  ③国内のみでなく海外の商標権を侵害しない事

(3)商標に色彩を付すべきか
 キャラクターには通常は色彩が付されています。しかし登録商標に色彩が付されていると、他人の商標の形状と色彩が登録商標と異なることで、他人の商標が全体として非類似と判断される場合があります。一方で登録商標が特徴的な色彩を有し、他人の商標の色彩が酷似する場合には、他人の商標は類似と判断されやすくなります。すなわち色彩を付すことにより概して商標権の範囲は狭くなるのですが、色彩が特徴的である場合には、その特徴的な色彩に類似する範囲については権利範囲が逆に広がります。

 そこで通常は色彩を省き図柄のみの商標を出願し、一方で色彩が特徴的な場合は色彩を付した商標を出願することをお勧めします。

3.商品と役務の選択
(1)指定商品と指定役務の選択
 キャラクターは、多様な商品に付され得ます。一部の商品を指定して商標を登録しても、他の商品に他人が類似する商標を登録して使用する可能性があるので留意してください。これを防ぐためには多様な商品を指定しておくことが勧められます。

(2)不使用による登録商標の取り消し
 ただし商標権を取得しても、その商標を3年間使用していなければ、競合会社等は、商標登録を取り消すことを請求できます。キャラクターの、ある図柄がプログラムの中だけで登場し、商品等に付されていない場合、その図柄は商標として使用をされていないので、取り消し審判により取り消される恐れがあります。ある商標を、指定商品Tシャツに使用していても、指定商品ノートに対して使用していなければ、商標登録の3年後には、ノートの指定が登録商標から取り消され得るので留意してください。

以上


« »