意匠制度の概要

2021.10.27
弁理士・米国弁護士 龍華 明裕

図面
・出願には、物品を6つの方向(上下・左右・前後)からみた6面図が必要です。
・各図は同一縮尺で、完全に整合している必要があります。
・物品の凹部の深さを6面図から理解できない場合は、断面図又は斜視図も必要です。
・前後・左右の態様がまったく同一の場合には、いずれかを省略することが可能です。
・出願後には、殆ど図面を補正できないので注意が必要です。


権利の存続期間
 出願日から25年 (2020年4月以前に出願した場合は登録から20年)


登録を受けられない意匠
(1)新規性のない意匠
 日本国内または外国で、既に販売された製品の意匠、刊行物やインターネットで公知になった意匠と、それらに類似する意匠は登録されません。

(2)創作容易な意匠
 公知の意匠から当業者が容易に創作できる意匠

(3)工業上利用性のない意匠
 ロゴ、キャラクターなどは登録を受けられません。

これらの場合でも、デザインを商標として保護できる場合が多々あります。
具体的な事案に応じて、どうぞご相談ください。


意匠のバリエーションの保護
 あるデザインコンセプトで複数のバリエーションの意匠登録を受けたいときは、下記の出願をお勧めします。2021年春からは、一つの出願で複数の意匠を出願することも可能となります。

(1)関連意匠
出願済の意匠に類似する意匠を、関連意匠として順次出願できます。これにより基礎意匠と関連意匠との中間的な意匠も保護されるので、権利範囲が広がるだけでなく明確になります。

(2)部分意匠
物品の一部分のみを部分意匠として出願できます。物理的に切り離せない部分であっても構いません。これにより、他の部分が非類似であっても、登録された部分が類似する限り権利範囲が及びます。

全体に特徴があり、かつその一部には特に特徴がある場合には、全体の意匠と、部分意匠の双方を出願することをお勧めいたします。


他の重要な制度
(1)新規性喪失の例外(Grace Period)
販売や宣伝等で公知になってから1年以内であれば新規性喪失の例外を申請して意匠登録出願することができます。優先権主張をした場合でも公知になった日から1年以内に出願する必要があります。申請は出願と同時にし、出願から30日以内に公知になったことを証明する書面を提出しなければなりません。

(2)秘密意匠
意匠が登録公報に記載されるのを、登録の3年後まで遅延させることができます。申請は出願時、または登録料の納付時におこなうことができます。

(3)画面の意匠
ディスプレイ等に表示される画像を、意匠によって保護することができます。ただし画像は、機器の操作に必要な機能を示すもの(GUI)又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限られます。

(4)早期審査制度
外国で出願した意匠やライセンス交渉をしている意匠、争いが生じている意匠については、審査を早めることができます。

ご質問がございましたら、どうぞご遠慮なくご連絡下さい。

以上