「関連意匠の関連意匠」の活用

2021.10.12
弁理士・米国弁護士 龍華 明裕

 

 意匠法の新法が2020年4月1日に施行されます。新法の下では、最初の基礎出願から10年に渡り、基礎出願に類似する関連意匠や、関連意匠に類似する関連意匠を順次出願することができます。これらの意匠の存続期間は、基礎意匠の出願日から25年です。

関連意匠は公知意匠の例外
 本来は、販売等により公知になった意匠は登録されません。
しかし、本意匠Aまたは関連意匠Bに類似する意匠Xの製品をA,Bの出願後に販売した場合であっても、その意匠Xを、AまたはBの関連意匠として出願すれば、Xを権利化することができます。このように、製品を販売しながら権利の網を広げることができます。

問題点1:「拒絶のドミノ」

 A-B-C-Dと、異なる時期に順次関連意匠を出願し、それぞれの出願の直後に、出願した意匠と同一または類似の製品を販売していたと仮定します。仮にBが公知意匠X(Aに非類似でBに類似)により拒絶されると、Cの審査において、Bの販売に対して公知意匠の例外が働かないので、CはBの販売により拒絶されます。するとCの販売に対しても公知意匠の例外が働かないので、DはCの販売により拒絶されます(拒絶のドミノ)。


問題点2:複数の独立意匠に類似する意匠を登録できない。」
 非類似の意匠A, Bが独立に登録されると、双方に類似する意匠Xは権利化できません。Xを一方の意匠Aの関連意匠としても、他方の意匠Bには公知意匠の例外が働かずBにより拒絶されるからです。



RYUKAからのご提案
1.関連意匠を10年の期間に頼らず早めに出願する
 他の公知意匠により拒絶されるのを避け、ひいては拒絶のドミノを回避するためです。
 できるだけ同時に出願することをお勧め致します。

2.非類似の意匠A,Bを出願する場合、中間的意匠Cも出願し関連意匠にする
全体が関連意匠として関連付けられると、上述のXに対してA,B双方の公知意匠の例外が働き、Xの登録を受けられるからです。A,B出願後にCを出願しても、A,Bを関連付けることができないのでご注意ください。

3.関連意匠が非類似と判断される恐れがある場合も中間的な意匠を出願する
 2つの意匠を確実に関連付け、その後に権利の網を広げやすくするためです。また関連意匠として出願し、特許庁から類似しないという拒絶理由を受けた場合には、できる限り、類似すると反論することをお勧めいたします。A,Bの双方に公知意匠の例外を働かせるためです。

 ご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。